星の王子様/サンテグジュペリ

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内容

大まかなストーリーに乗って気付きを与えていくような小説だった。

王子様は地球に来る前にいくつかの星を転々と周り、いろんな人と出会っていく。

仕事が忙しい人、王様、偉い人ぶる人、地理学者、街灯を付ける人など。

王子様は子供で疑問を持ったら、気になって仕方がない性格の持ち主であった。

男は王子様と出会って、気持ちの変化が起こっている。

子供には少し難しいかもしれないが、面白い話だと思った。

的確に大人のダメな部分を表しているようにも感じた。

 

気付き

この作品は子供の時に見るのと、大人にな手から見るのとでは、まったく違った作品に見えるという。確かに子供が読むと絵本のような作品に見える。大人が読むと大人への批判が、王子様が廻った星の住人達を使って、表現している。

仕事が忙しい住人は、お金のために一生懸命働いているが、そのお金をどう使うかまでは考えていない大人が描かれている。残業して、生活を投げ出してまでしている仕事に意味はあるのか?

王様の住人は、王様のあるべき姿を現していた。人が出来ないような命令は出してはいけない。その人が出来ない命令を王様が出した時、果たしてできなかったその人が悪いのか、王様が悪いのか読者に気付かせようとしている。そんな命令を出した時に市民は反逆を超すであろうと書いてある。子供の読者には気付きを、大人の読者には共感を与えようとしているのではないかと思った。

 

偉い人ぶる住人は、人よりも優れたという満足感を得ている姿を現していた。人よりもお金を持っていて、賢くて、偉くてそれが何なんだと王子様は感じている。人間には人よりも上に立ちたいという思いを持っている。そんな人間の醜い部分を表しているのではないかと思う。

 

地理学者は、百聞は一見にしかずということわざを表しているように感じた。地理学者なのに現地には出向かず、探検家の言うことを聞いて、書物に書き出すという行為をしている。王子様からすると「そんなことして何が楽しいのか?」と疑問に感じている。自分の目で見て、自分の肌で感じるのが一番正しくて、一番楽しいのではないかと書いているように感じた。

 

街灯を付ける人というのは、会社で働く社員のことを表しているように感じた。夜になると街灯を付けるという作業はサラリーマンの生活そっくりである。そして時代の流れは速くなっていって、仕事の量が増えても従来のやり方を変えないため、街灯を付ける人は仕事に追われている。これはブラック企業を表していると感じた。時代によって作業内容は増えているのに作業の効率化を図らないため、残業をする必要があるという構図を表しているような気がした。寝るのが今の一番の楽しみという、街灯を付ける人のセリフには寂しさを感じた。

 

王子様の星のバラを恋人と表現しているように感じた。バラはしなくてもいいお願いをしたり、うそをついたりして王子様を困らせていた。王子様はそれを面倒だと思っていたが、バラとしては気持ちに気付いて欲しかった。王子様が出発するときにやっとバラが打ち明けて、王子様がその気持ちに気付いた。

 

狐と出会って友達のできる過程を「飼いならす」と表現していた。飼いならすとは、絆

を作るということであると言っていた。絆を作るには少しずつ距離を縮めていって、会えない日はその人のことをつい思ってしまう状態になるようになる必要がある。大人の読者からすると、「確かに友達はこんな風にできたな」と感じる。子供の読者は純粋に「こういう風に絆が出来ていくんだな」と感じるはず。

 

最後、男が飛行機を修理して町に帰ったときは王子様との出会いを誰にも話さなかった。これは今の大人が先入観を持ち、話を聞いてくれないという大人への批判であると同時に現実を表している。ここに関しては大人の読者は「自分もそんな人間になっているのかもしれない」という気付きを与えてくれている。子供の読者は「そんなわけないだろう」と感じるかもしれない。